絵を見たあと、その絵を生み出した人の仕事場にも目を向けてみる。葉山の「山口蓬春記念館」では、作品だけでなく、画室や庭からも日本画家・山口蓬春の暮らしに触れられます。

展示室に並ぶ絵と、窓の向こうの景色。その両方を楽しみに、小さな美術館へ出かけてみませんか。

作品のそばに、画家の家がある

山口蓬春記念館の入口と周囲の緑
画像出典:文化庁

ここは蓬春が1948年から1971年まで過ごした邸宅。既存の家に、建築家・吉田五十八が画室などを増改築しました。その後、記念館へと改築する際には大江匡が関わっています。主屋と画室は、2023年に国登録有形文化財となりました。

建物の紹介を読んでから訪ねると、作品の展示場所というだけでなく、画家が生活し、制作を続けた家としても見ることができます。

2026年11月15日までは、秋季特別展「開館35周年―蓬春から次世代へ」が案内されています。蓬春と、次の世代の作家たちの作品に焦点を当てた展示です。訪問日を決める際は、開催中の展覧会も確認してみてください。

庭の光まで楽しむ画室

山口蓬春記念館の画室から庭を望む
画像出典:文化庁

文化庁の建築紹介では、画室の大きな引き込み式の障子が、光を取り込み、庭と室内をつなぐ工夫として解説されています。公開されている写真からも、制作の場のすぐそばに庭が広がる様子が伝わります。

庭は、ただ眺めるためだけの場所でもありませんでした。公式の庭園案内によると、蓬春は絵のモチーフとする草花を植え、画家仲間から贈られた木も育てていたそうです。

何を描いたのかを作品で見て、どんな場所で描いたのかを建物で知る。さらに庭へ目を向けると、絵と日々の暮らしの距離が近く感じられそうです。今の季節の表情を、自分の目で探す楽しみも残しておきたい場所です。

情報確認日:2026年10月20日